数年前の話。

その日、父が出張で帰りが遅くなるということで、
家には母と妹と俺の3人がいた。
夜8時頃、俺が2階の自室にいると玄関のドアがガチャッと閉まる音がした。
その時は、父にしては早すぎると思ったので母が外に出たのだと思った。
でも、なかなか帰って来ない、というか、2度目のドアの音が鳴らない。
さっきの音は父が帰ってきた音だったのかな、
と思い、1階の居間に行ってみた。

すると母が、「お父さんがどこに行ったか知らない?」と聞いてくる。
母の話によると、8時頃に玄関から音がしたので居間からのぞくと、
父が玄関に居るのが見えた。

そこで妹にそれを伝えると妹も同様に玄関をのぞき、
「おかえり。」と言って手を振った。
そして、父はそれに対して手を振り返してきたらしい。

だがその後、父はなかなか居間に来ないし、
父のスリッパが玄関に置きっぱなしになっている。
どこに出かけたのだろうか、と不思議がっているということだった。

それから2時間ほどして父が帰宅した。
どこに行っていたのかと聞くと、
自分は出張から帰ってきたばかりで、
8時頃はまだ新幹線の中にいた、と話した。

家族は、今でもその話題が出るたびに、
生霊?ドッペルゲンガー?なんて笑い話にしてるんだが、
俺は結構怖い。 


【引用元:ほんのりと怖い話スレ その58】