良くある「飛頭蛮系」の話の亜種だが、6年前の事。
あんまり怖くは無いがまあ聞いてくれ。

夜勤を終え、自転車で自宅に向けて走行中の事。
家の近くまで来て何気なく時計を見、
「4時半かぁ、思ったより早く帰れた。5時には寝れるな」
なんて思いながらチンタラ走ってたんだ。
東武線の某駅から環七に向けてやや真っ直ぐに伸びた道を。
で、遠く前方にナンだか黒っぽいものが見えてきた。
ナンだ? と見てるうちに、その黒いのは道路のセンターライン上1m程の高さで
浮いたままこちらに飛行してくるわけだ。
大きさはだいたい人の頭くらいの、真っ黒い塊。少し尾を引いて飛んでる。
車がゆったり走るくらいのスピードだったから、時速40kmくらいか。
なんだかヘンなものが飛んでるな、と自転車のスピードを緩めながら眺めてた。
この時点ではあんまり怖くなくて、
もう一度時刻を確認するぐらいの余裕があった。




何月何日AM4:30、自宅前の通りでヘンなもの目撃ィ、話の種にしたれー、と。
で、すれ違い様に首を巡らせてその黒いのを目で追ったんだ。
その先の交差点で何処に進むのか、と。

ところが、そのまま道に沿って飛んで行くと思ってたソレは、
すれ違う俺を追うかのようにUターンして来た。
しかもこちらの目線の高さに微妙に高度修正してる。
え、もしかして俺めがけて飛んで来てたの? 
そう思った途端、急激にもの凄い恐怖感を覚え、
こらアカン、こら眺めてる場合ちゃう! と狼狽したあまり偽関西弁で思考
(この時、確かに俺は偽関西弁で考えた。それははっきり覚えてる)
 

実はここでその時の記憶が途切れてる。
自転車で走行中だったはずなのに、
いつの間にか道路の端っこに立ってる自分に気付いた。
自転車は脇にキチンと止めてある。
黒い塊はもういない。
メチャメチャ怖かったけどもういないならイイや、と家に帰った。

自分の部屋に戻って時計を見たら、5時過ぎ。
黒いの遭遇地点から家までは歩いても3分ほど。
遭遇時刻は4時半、これは間違い無く確認した。
なのに家に着いたら5時過ぎてる。
この“間”は何だろう、何で俺30分もボーッと突っ立ってたの? 
と改めて怖くなり、その日からの2連休、引き篭もって過ごした。
なにしろ現場はすぐそこだったからね。
 
今でも、深夜早朝に遠くまで見通せるような長い道を通ったりするとチョト怖い。
以上。良く解らん話で申し訳ない。 



【引用元:死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?part93】