修理屋のおっさんが話そう。

二十代の頃、仕事で某デパ地下の惣菜コーナーの厨房機器の修理に行った時の話。

その地域唯一のデパートな為、常に多忙を極め、食品売場でトラブルが発生すると、
管理会社から嵐のようにコールがかかっていた。
至急!至急!至急! 来れないなら取引停止。 俺も同僚もウンザリしていた。
ある日、致命的な故障が発生した。
応急処置して、改めて閉店後に伺う旨を管理会社に説明した。
先方も渋々承諾。

22時頃、デパート着。
管理事務所「どれ位かかるんだ」
「1時間ぐらいです。」
夜誰もいないデパ地下は不気味。
田舎なので、まばらにいた従業員もいつのまにか居なくなった。
ふと不思議に思った。

何で、誰も立ち会わないんだ?

管理会社からは、何かあったら内線と言われただけ。
終わったら管理事務所に戻って報告。
地下には自分一人。
あれだけうるさい管理会社が自分を管理しない事がとても不思議だった。
昼間は絶対立ち会い、鬼のように煽るくせに。

とは言え仕事が捗る、捗る。
あとは蓋をして、点火テストをするだけ。
蓋のネジを探していると不意に声をかけられた。

「何してるんですか」と聞こえた。
振り向くと誰もいない。
今いる惣菜コーナー以外真っ暗。
着いてるのは遠くの非常灯だけ。
気のせいだと思い、作業をすすめた。
惣菜コーナーの最後の人には挨拶したし、自分の近辺に人がいるはずがない。
「何してんです~」また聞こえた。
足元のネジを蹴ってしまい、慌てた。そして気付いた。
消えてたはずの惣菜コーナーの事務所電気がいつのまにかついている。

壊れた焼き物機の所だけ電気つけていたので、その照明がついてる訳がない。
「点火テストはいい。ネジしめて帰ろう。明日来よう。」
ネジしめ終わった時、事務所の椅子が下がる音がした。
ネジ閉めた状態で固まっていたら事務所の電気がふっと消えた。

内線掛けて管理会社の人を呼んだ。
何と三人でやって来た。
「修理おわりました。点火テスト立会い、いいですかね」
なぜかみんな苦笑い。
管理会社の人とはこの日を境に仲良くなった。
後日聞いてみたらそのデパートは夜頻繁に出るらしく、
巡回の時は常に三人で回るそうだ。


【引用元:死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?part274】