これは20年近く前の小学校の頃の夢です。
その頃、俺は毎日、同じ夢ばかり見ていました。
それはある女の子の夢です。

漏れの家の近所の駅は坂の上にあるんですが。
彼女はその坂の中に住んでいました。
たしかにそこはゆうに家一軒くらいのスペースはあるのですが、
実際にはそこに家などあろうはずもありません。
しかし、その女の子はそこに住み、俺は彼女に会うため、
夢を見るたびにその場所を訪れました。
当時の俺は毎晩といっていいほど彼女の夢を見ました。
不思議なことに目が覚めると顔は思い出せないのですが、
彼女は俺より少し年上でとてもかわいい女の子でした。
そして、当然のように俺は彼女を好きになってしまったのです。
現実の世界にあっても俺が考えるのは彼女のことばかりでした。 

ある日、俺は思い立ちました。
次に彼女に会ったら(彼女の夢を見たら)、告白しようと…
そして、彼女に会う夜がやってきました。
思い切って思いを告げると、彼女は部屋の中にある扉を開いたのです。
夢の中で幾度となく彼女に会いに訪れた部屋でしたが、
その扉の向こうを見るのは初めてでした。

扉の向こうから現れた彼女は俺と同年代くらいの車椅子の少女を連れていました。
車椅子の少女は彼女の妹で、生まれつき足が悪く外に出ることも出来ないとのことでした。
そして、彼女はその車椅子の少女が俺のことを好きなのだと告げたのです。
外に出ることもままならない妹の代わりに俺に会っていたと言うのです。
しかし…俺が好きなのは彼女の妹ではなく彼女なのです。
そのことを告げると彼女はとても悲しそうな顔で「もう会えない」
そう呟くと俺はその部屋から何か大きな力でつまみ出されました。

1ヶ月かそれ以上か…長い間、続いた甘い夢はそこで途切れました。 

今になって思えば、彼女の妹を受け入れていたら…ガクガクブルブル
二度と覚めることのない夢になっていたりしたのかもしれません。
とはいえ、彼女と一緒にいられるのならそれはとても幸せなことだったんですけど。。。


【引用元:不可解な体験、謎な話~enigma~ part23】